四国におけるアライグマの現状
 アライグマは北米原産の哺乳類です。日本では、1970年代に放映されたアライグマを主人公としたアニメーションの影響で人気が出て、ペットとして多数、輸入・販売されました。しかし、アライグマは成長すると気性が荒くなり、飼育に不向きなうえ、手先が器用なことから、日本各地で逃亡・遺棄が相次ぎ、2007年時点で、47都道府県の全てで野外における確認情報があります。

○アライグマが野外に生息すると何が問題なのか

1.農業被害
 アライグマによる野菜や果物への食害です。アライグマが1978年に野外で初めて確認された北海道では、平成10年度に農業等の被害額が3,000万円を超え、平成16年度には3,800万円に達しています。また、その他の県でも農業被害が深刻な問題となっています。

2.生活被害
 アライグマが家屋などに侵入することにより、人間に直接的に与える被害です。長野県北佐久郡軽井沢町と神奈川県では、家屋侵入による壁などの損壊や糞尿による被害が報告されています。また、京都などでも寺社仏閣などの文化財に侵入し、同様の被害を発生させています。

3.生態系への影響
 本来、日本の生態系には存在していなかったアライグマが野外定着することにより、日本の生態系に及ぼす影響です。北海道ではニホンザリガニやエゾサンショウウオ、神奈川県ではトウキョウサンショウウオを捕食した事例や、北海道でアオサギが営巣を放棄した例などが報告されています。

4.人獣共通感染症の問題
 アライグマが野外定着することにより、本来、日本にいなかった寄生虫などが新たに日本に定着し、人間に寄生することにより起こる問題です。アアライグマ回虫症が一番、懸念されています。アライグマ回虫が人間に寄生すると、失明したり、最悪の場合、死亡することもあります。現在のところ、野外での確認例はありませんが、動物園で飼育されているアライグマからは確認されています。

○四国での現状
 私たちは、2005年から2007年にかけて、四国におけるアライグマの現状について調査を実施しました(この調査は、現在も継続中です)。以下に四国4県の状況について報告します。

1.愛媛県
 愛媛県は、アライグマの確実な野外確認情報が無かった県です。しかし、2006年11月14日に、松山市でアライグマ2頭が目撃され、そのうち1頭が捕獲されました。
逃げた1頭は捕獲されていません。愛媛県では、不確実な情報はあるものの、現在のところ、情報はこれのみであり、野外定着はしていないと考えています。

2.高知県
 高知県でアライグマが初めて野外で確認されたのは、1982年4月8日に、高知市においてです。その後も高知県では、アライグマ情報が得られています(2007年時点で16件)。しかし、野外定着は確認されておらず、近年の情報はペットの一時的な脱走が多く占めることから野外定着はしていないと考えています。

3.徳島県
 徳島県のアライグマ情報は、1994年度に、狩猟で1頭捕獲されたのが最初です。その後は2000年まで情報がありませんでした。2000年以降は、鳴門市で多くの情報が得られています。また、阿波市や吉野川町でも情報が得られています。鳴門市周辺では、幼獣が捕獲されることなどから、野外繁殖がなされていると考えます。しかし、阿波市や吉野川町では、情報が単発的なことから、まだ、野外定着はしていないと考えています。

4.香川県
 香川県のアライグマ情報は、1995年10月14日に高松市のスーパーでメスのアライグマが保護されたのが最初です。その後も、多くの市町村でアライグマの確認情報があり、また、育児なども確認されていることから、香川県では、広い範囲でアライグマが野外定着していると思われます。

これらの結果を見ると、四国では香川県東部を中心とした地域に野外定着しているのが分かります。私たちは、今後も四国におけるアライグマの生息状況を把握していくとともに、アライグマ対策に努力していきたいと思います。
図 四国におけるアライグマの分布状況
図 香川県さぬき市で捕獲されたアライグマ
四国におけるアライグマの現状
考文献:金城芳典・谷地森秀二.2007.四国における外来種アライグマ Procyon lotor の現状.四国自然史科学研究,(4):1−9
        金城芳典・谷地森秀二.2007.愛媛県松山市で捕獲されたアライグマ Procyon lotor.四国自然史科学研究,(4):27−29.