最近、人為によって国外又は国内から意図的・非意図的に導入された野生生物が、地域固有の生態系にとって大きな脅威となっている問題、いわゆる「外来生物問題」がクローズアップされています。四国においても例外ではなく、アカミミガメやウシガエルは各地で野生個体が確認され、在来生物を捕食することで水辺環境の生態系に多大な影響を与えています。さらに、近年アライグマが香川県、徳島県において農作物などに被害をもたらし始め、予断が許されない状況になっています。

このような状況から、当センターは高知県に対して「高知県における外来生物の状況把握」の必要性を、平成14年度から提言してきました。高知県ではこの提言を受けて、平成18年度に「平成18年度外来生物分布調査(陸上脊椎動物)」が事業化され、当センターが委託をうけて調査を行いましたので、その結果の概略を紹介します。

 調査の対象としたのは、環境省が定めた「特定外来生物による生態系などに係る被害の防止に関する法律(以下、外来生物法と称す)」において、特定外来生物および要注意外来生物として指定された種のうち、地域生態系に対する影響が高い高次消費者である陸上脊椎動物(哺乳綱、鳥綱、爬虫綱および両生綱)です。

 情報の収集には、文献調査(大正元年以降に発行された高知県における生物情報が掲載されている資料)、アンケート調査、聞取り調査(動物飼育施設や高知県警察本部(逃げ出したペットを拾得物として扱います))、そして上記方法で情報が得られた地域での現地調査などです。また、高知新聞やNHKのニュースなどを通じて、外来生物問題の啓蒙普及を行いあわせて情報の提供を呼び掛けました。

 調査の結果、高知県において確認された調査対象種は、4綱9目13科18種でした。表1に、確認された調査対象種および確認状況を示します。

最も多くの外来生物種が確認されたのは高知市(12種)で、多い順に南国市(6種)、土佐市(4種)というように、県の中央部における確認例が多くを占めました(2)。

 種によって情報数や確認状況に違いがみられましたが、野外で繁殖し高知県に定着しているもしくはその可能性が高い種は、ソウシチョウ、アカミミガメおよびウシガエルの3種でした。これら3種以外の15種は、その確認の状況からペットとして飼われていた個体が、意図的に放されたり、逃亡したりして一時的に野外で生活した後に再捕獲された事例がほとんどでした(しかしながら、飼い主が名乗り出た事例はわずかでした)。

以上のように、高知県においても多くの外来生物の確認がなされました。アカミミガメ、ウシガエルおよびソウシチョウの3種は、今後継続的なモニタリング調査を実施すること、場所によっては根絶のための駆除施策を講じる必要があると考えています。

 その他の種についても、引き続き情報収集を実施することは重要であり、特にアライグマについては注意が必要です。本種は本各地で野生化し、在来生態系への影響、農作物被害、人的被害が報告されています。四国内においては、既に香川県で農作物被害が発生し有害駆除が実施され、徳島県においても複数の目撃情報、イノシシ捕獲ワナでの錯誤捕獲、交通事故死体などが確認されています。さらに、愛媛県においても2006年に松山市内で2頭が目撃され、内1頭は捕獲され殺処分になりましたが、他1頭の行方はいまだ行方不明です。高知県においては定着こそしていないものの、16例の情報が得られたことは非常に問題で、今後新たな情報が得られるようであれば、早急に捕獲して在来生態系から取り除く事が必要だと考えます。

平成18年度は、調査対象種を陸上脊椎動物(哺乳綱、鳥綱、爬虫綱および両生綱)に限定して実施しましたが、高知県ではこれらの分野以外の生物群である魚類、甲殻類、昆虫類、貝類および植物分野においても、外来生物(ブラックバス、ブルーギル、アメリカザリガニ、カブトムシ類、スクミリンゴガイ、ボタンウキクサおよびケナフなど)が確認されており、その中には確実に野外に定着しているものがみられます。本年の対象種以外の生物分野においても、同様な状況把握調査を実施し、種や場所によっては根絶のための駆除施策を講じる必要があります。






高知の外来生物