平成16年度高知県カエル生息状況調査結果
『最近、「かえる」見ませんでした?』この言葉をキーワードに、平成16年度に実施した高知県カエル類生息状況調査の結果がまとまりましたのでご報告します。
 今回、動物園や博物館などの公共施設、県内中学校にポスター200枚、ちらし2,000枚を配布し、情報の募集をした結果、25人の方から13市町村分、39件の情報を頂きました。市町村ごとのカエル情報は表1のようになっています。
 
 
表1.市町村ごとのカエル情報
 ヤマアカガエル(写真4)とニホンアカガエルの生息状況を確認するため、1月から3月にかけて卵塊確認調査を実施しました。
 アカガエル類の卵塊は、5市町村の合計51ヶ所で確認しました(旧葉山村2ヶ所、旧伊野町9ヶ所、土佐市3ヶ所、日高村12ヶ所、佐川町25ヶ所)。1ヶ所あたりの卵塊数を図2にまとめました。1〜5卵塊しか見つからなかった地点が最も多く46%(28ヶ所)を占めており、10卵塊以下では全体の82%を占めました。卵塊の確認だけでは種名の特定が難しいため、4月に入りおたまじゃくしの確認による種名の特定調査を実施しました。その結果、ニホンアカガエルのおたまじゃくしが確認された地点は1ヶ所もありませんでした。また、前回の調査では卵塊が確認されたにも関わらず、ヤマアカガエルのおたまじゃくしすら確認されない地点も多くありました。この結果から、少なくともこの5市町村においては、ニホンアカガエルだけではなく、ヤマアカガエルも絶滅の危機に瀕していることが推測されました。ただし、今回の調査地点は田んぼを中心としたため、調査地点以外の水辺にニホンアカガエルが生息している可能性があります。今後さらなる調査が必要と思われます。
「かえる」とひとくちにいっても、ニホンアカガエルのように絶滅の危機に瀕している種類もいれば、ニホンアマガエルのようにたくましく生きている種類もいます。今回の調査では、高知県でもカエルに興味を持っている人が多くいることが分かりました。例えば、ヤマアカガエルのために冬の間田んぼに水を溜めて観察されている旧鏡村の農家の方、ご自宅の近くにあるヤマアカガエルの産卵場で何年にもわたり観察を続けている梼原町の方などです。今後は、これらの人々と協力して、引き続き調査を行い、高知県のカエル類の生息状況を明らかにし、いなくなることがないよう見守っていきたいと思います。
最後に、本調査はセブン−イレブンみどりの基金の助成を受け実施しました。
情報がなかった2種類は、カジカガエル(写真2)とニホンアカガエル(写真3)でした。カジカガエルは水のきれいな河川に生息します。高知県では比較的多くの河川で鳴き声を耳にしますが、鳴き声のことを知らないとカジカガエルと分からないため、情報が寄せられなかったのではないかと思います。アカガエル類については、卵塊の情報が5件寄せられました。しかし、卵で種類を識別するのが難しく、種名までは分かりませんでした。この中にニホンアカガエルの卵塊が含まれている可能性があります。
お寄せいただいた情報件数は、高知市がもっとも多く、11件ありました。次に須崎市、大豊町および大月町の5件となります。この市町村による情報件数の違いは、カエルに興味を持っている人がどこに住んでいるか、が大きく影響しているようです。カエルの種類数では、高知県に生息するカエル1種のうち9種の情報をいただきました。最も多く情報が寄せられた種は、ニホンアマガエル(写真1)の13件でした。ニホンアマガエルは、比較的都市部にある人家周辺でも見かけます。そのため多くの情報が寄せられたのでしょう。情報を寄せて頂いたみなさんがカエルを見つけた場所も、水田・畑についで自宅周辺での発見が多いことから、このことが伺えます(図1)。
発見場所 種名(カッコ内は報告数)
高知市 ニホンアマガエル(5)、トノサマガエル(1)、ツチガエル(1)、ヌマガエル(1)、アカガエル科の一種(1)、シュレーゲルアオガエル(2)
須崎市 ニホンアマガエル(1)、ツチガエル(1)、アカガエル科の一種(3)
中村市 ヤマアカガエル(1)
伊野町 ウシガエル(1)
春野町 ニホンアマガエル(1)
土佐山田町 ニホンヒキガエル(1)、ニホンアマガエル(1)、トノサマガエル(1)
越知町 ニホンヒキガエル(1)、ニホンアマガエル(1)
窪川町 ヤマアカガエル(1)、トノサマガエル(1)
佐川町 アカガエル科の一種(1)
檮原町 ヤマアカガエル(1)
大豊町 ニホンアマガエル(2)、ツチガエル(1)、アカガエル科の一種(1)、シュレーゲルアオガエル(1)
大方町 ニホンアマガエル(1)
大月町 ニホンヒキガエル(1)、ニホンアマガエル(1)、タゴガエル(1)、ツチガエル(2)
写真1.ニホンアマガエル
図1.カエルを見つけた場所
写真2.カジカガエル
写真3.ニホンアカガエル
写真4.ヤマアカガエル
図2.1ヶ所あたりの卵塊数
写真:卵塊が最も多く見つかった
    日高村の休耕田
この場所でも再調査の際はおたまじゃくしの確認はなかった。